胃潰瘍

胃潰瘍とは

胃粘膜がただれてしまう状態を「胃潰瘍」といいます。
一昔前までは「ストレス潰瘍」と呼ばれていたほど、ストレスが主な原因だと言われていました。たしかに急性の胃潰瘍の場合、ストレスが原因になっていることも多いです。しかし、ストレス以外の要素が原因で発症することもあります。
特に慢性的な胃潰瘍の場合は、ピロリ菌に感染している可能性が高いうえに、なかなか治りにくく再発しやすいです。

ちなみに近年では、鎮痛剤(NSAIDs)の副作用が原因で発症する胃潰瘍(NSAIDs潰瘍)も増えてきています。特に鎮痛剤(NSAIDs)を服用していない方と比べて、鎮痛剤(NSAIDs)を服用している方は胃潰瘍の発症リスクが10倍高いと言われています。

症状

最も多く見られる症状は腹痛です。痛くなりやすい部位は心窩部(みぞおち)で、鈍い痛みが発生します。また、腹部が張ったような感覚(膨満感)や、食欲不振、吐き気、・嘔吐、胸やけなどもよく見られます。
とはいえ、自覚症状の強さや出方には個人差があり、潰瘍が見られても無症状を訴える方も決して少なくありません。
中でも鎮痛剤(NSAIDs)の副作用で発症する潰瘍の場合、自覚症状がなかなか現れにくく、出血などの重大症状が初発症状であることも多いと言われています。

また胃潰瘍にかかってしまうと、出血や穿孔(胃壁に穴が開くことです)、幽門狭窄(胃の出口である幽門が潰瘍によって腫れることで、狭くなってしまいます)などの併発リスクが高くなってしまいます。穿孔が発生すると徐腹部の激痛がみられ、幽門狭窄が発生すると嘔吐が起きやすくなります。
この中で多く見られるのが出血で、吐血よりも下血が多く見られます。そして胃潰瘍によって出血が起きる場合、胃酸と反応するので真っ黒い「タール便(黒色便)」が現れやすくなります。そして急性の胃潰瘍で、大量出血を起こすとタール便ではなく鮮血便が見られるようになります。

出血や穿孔、幽門狭窄が見られた場合、内視鏡検査(胃カメラ)を行って診断を確定していきます。

胃潰瘍の治療方法について

胃酸を中和させる効能を持つ制酸剤を処方する、投薬治療を行います。処方してから約2か月で、症状が落ち着いてきます。

出血が見られる胃潰瘍に関しては内視鏡的止血術で対処していき、穿孔の疑いがある場合はCT検査を行います。そして穿孔を見つけ次第、手術(外科的処置)で速やかに治療していきます。
ピロリ菌感染の疑いがある場合は、除菌治療により潰瘍の再発リスクを抑え、完全除去と胃潰瘍の完治を目指します。

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