糖尿病とは
血液に含まれているブドウ糖の濃度である血糖値が慢性的に高い状態になる病気です。血糖値は食事内容などによって絶えず変化していますが、正常な場合には70~140mg/dl程度の範囲で上下します。血糖値が繰り返し上昇して200mg/dlを超えることが増えている状態が糖尿病です。
血糖値は様々な要因で上昇しますが、血糖値を下げることができるのは、すい臓で作られるインスリンというホルモンだけです。糖尿病では、インスリン分泌低下、あるいはインスリンの働きが弱くなるインスリン抵抗性によって血糖値が十分に下がらなくなって発症します。糖尿病のほとんどを占めるのは生活習慣によってインスリン分泌低下やインスリン抵抗性を起こしているタイプで、主な原因には肥満や運動不足があります。
糖尿病の原因
正常な血糖値は70~140mg/dl程度の範囲で上下しています。血糖値を下げることができるのはインスリンというホルモンだけです。このインスリンの分泌量が減ったり、効果が悪くなったりすると血糖値を下げられなくなって高血糖状態が続き、糖尿病を発症します。
糖尿病のタイプ
1型糖尿病
ウイルス感染などで免疫異常を起こし、すい臓のβ細胞というインスリンを作る細胞が破壊されて発症します。子どもから高齢者まで、幅広い年代が発症します。
2型糖尿病
遺伝的要因があって、そこに肥満や運動不足などの生活習慣が積み重なって、インスリンの働きが悪くなり発症します。かなり進行しないと自覚症状がないため、健康診断などで指摘されて初めてわかりケースが多くを占めます。糖尿病の約95%以上がこのタイプだとされています。
その他
1型と2型以外にも、疾患が原因で起こるもの、遺伝子異常によるもの、妊娠によって起こるものなどがあります。
糖尿病の症状
かなり進行するまで自覚症状に乏しいため、健康診断で糖尿病やその予備群と指摘された場合や、下記のような症状に気付いたらできるだけ早く受診してください。
- のどが渇く
- 水分の摂取量が増えた
- おしっこの回数や量が増えた
- ダイエットしていないのに痩せてきた
- 倦怠感があって疲れやすい
- 手足にしびれがある
- 視力が急激に低下した
- 軽いやけどやけがの痛みを感じにくくなった
- けがが治りにくい
- 肌が乾燥する
など
糖尿病の検査
血液を採取して血糖値を測定します。
血液検査
朝、食事を食べずにいらしていただいて、採血します。
その時点の血糖値だけでなく、HbA1Cも測ります。HbA1Cは、赤血球に含まれるヘモグロビンがどの程度糖と結合しているかを調べる検査で、これによって過去1~2ヶ月程度の推定平均血糖値を知ることができます。
血糖値の正常値は、空腹時血糖値が100mg/dl未満で食後血糖値は140mg/dl未満です。空腹時血糖値が126mg/dl以上で食後血糖値が200mg/dl以上の場合には糖尿病とされます。HbA1Cの結果を考慮に入れることで、診断をより正確に行えます。
血糖値の高い状態が慢性的に続くと血管に大きな負担をかけ続けることになり、動脈硬化や毛細血管へのダメージが積み重なり、重大な病気の発症につながります。健康診断などで血糖値が高めと指摘されたら、早めにご相談ください。
糖尿病の治療内容
1型糖尿病の場合は、インスリン注射による薬物療法が不可欠ですが、2型糖尿病の場合は、食事療法と運動療法が治療の基本です。
食事療法
カロリー制限と栄養バランスがとれた食事を心がけます。普段の食事はある程度配慮しても、外食や間食、飲酒などの際にこうした制限が乱れやすいため注意が必要です。
特に肥満がある場合、適切なカロリー制限で痩せるだけで血糖値改善につながることも少なくありません。痩せている方の場合には、医師や管理栄養士としっかり相談して適切な制限を行えるようにしてください。
運動療法
激しい運動は必要なく、少し汗ばむ程度の有酸素運動を1回30分、週に最低3回以上行うようにしましょう。できれば30分を2回、週5日運動すると効果的です。買い物や通勤など日常で歩く距離を増やすなど、ついでにできることから始めると習慣にしやすくなります。ただし、お身体の状態によっては適切な運動内容が大きく変わってくる場合もありますので、医師と相談してから行うようにしてください。
薬物療法
2型糖尿病で、食事療法や運動療法では十分な効果が得られない場合には、薬物療法も必要になります。薬物療法を始めた場合でも、食事療法や運動療法は引き続き不可欠です。
薬物療法で主に使われるのは経口血糖降下薬です。効果の出方を見ながら、服用量や2剤併用などを試すこともあります。また、インスリン注射併用が適しているケースもあります。
動脈硬化や合併症を防ぐために
糖尿病で血糖値が高い状態が続くと血管に大きな負担がかかり続けて動脈硬化を進行させます。生活習慣によって糖尿病が進行している場合には、同じ生活習慣によって高血圧や脂質異常症などの発症リスクも上がります。高血糖、高血圧、脂質異常のそれぞれの数値が低くても複数を発症していると動脈硬化の進行が速まってしまうことがわかっています。動脈硬化が進行すると、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中などの深刻な発作を起こすリスクが高くなります。
また、糖尿病の高血糖は、動脈だけでなく全身の毛細血管にもダメージを与え続けます。糖尿病網膜症、糖尿病神経障害、糖尿病腎症は糖尿病の3大合併症であり、失明、腎不全による透析、足の切断といった深刻な症状を起こす可能性があります。
動脈硬化を進ませないために、合併症を予防するために、血糖をしっかりコントロールしていきましょう。